14. 自己の錯覚
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14-1.自己認知における自己高揚
精神的に健康な人はポジティブに歪曲して捉えているのではないか
レヴィンソンらの実験:抑うつ者の自己評価の低さは自己をネガティブに歪めたためというより、非抑うつ者の方が自分をポジティブに歪めていたことで強調された 軽度な抑うつ(マイルドな抑うつ)者は現実をネガティブに解釈するというよりも、正確に捉える傾向を示す
うつでない人たちこそ、自己認知が客観的な基準よりもポジティブ方向に歪んでいる
14-2. ポジティブイリュージョンと平均以上効果
非現実的な楽観主義:現実以上に、自分の将来には良いことが起こり、悪いことはあまり起こらないと考える 自己奉仕的な認知バイアスの働き
日本人を対象として行われた調査では平均以上効果はしばしば確認できず、自己卑下傾向すら見られることがあった
日本人では優しさや真面目さにイリュージョンが現れる=これらの側面が社会で重視されていることの反映と解釈できる
もしくはこうした特性は評価基準が曖昧なために比較的自己評価の錯覚が生じやすい
日本人は自分自身を直接持ち上げるようなイリュージョンは弱いが、夫婦関係や友人関係などの関係性高揚によって間接的に自己高揚を行う傾向は見られ、その関係性高揚が幸福感に影響することが報告されている
14-3. 様々なポジティブイリュージョン
ギャンブルのように自分のスキルと偶然性が同一視されやすい状況でしばしば生じ、自分の力で勝ったように錯覚される
平均以上効果と同じく、成功体験は想起されやすいが失敗は忘れ去られる記憶バイアスの影響を受けている
自分が関与したという理由だけで偶然をコントロールすることができるように感じさせ、そのために対象の価値が上がったという錯覚も起こす
ランガーの実験:スポーツくじの実験。自分で選択したというだけでより当たる確率が上がるという錯覚が生じた 人生で望ましくないことをコントロールできるという信念は健康的な習慣をもたらし、生活の中のストレスにうまく対処ができるようにし、健康への悪影響を最小限に抑えることができる(テイラー) 幸せな人はポジティブな特徴が自分自身に起因していると考える傾向が強い
楽観性の高さも将来の価値を高め、自分がそれを実現できるという自信と高い動機付けにつながる
主観的な幸福感を規定する要因として、最も安定した影響力があるのが、たくさんの友人を持つことや人に対する感謝の気持ちといった社会的または対人的要因